北海道苫小牧市で、10歳未満の男児の顔面を複数回殴ったとして、31歳の母親が逮捕されました。
31歳の母親は、男児の父親とは既に離婚していますが、男児の父親からの通報で発覚した事件です。
男児がウソをついたことに対する体罰として往復ビンタしたことが逮捕容疑です。
数年前にも、夫婦喧嘩で母親が警察に事情聴取されたことがあるようです。
また、元夫が警察に通報したことから、この夫妻の離婚や親権争いの過程で高葛藤になっていたことが想像できます。
Yahoo!ニュースのコメントでは、「往復ビンタ程度はしつけの範囲では?」という意見も多いようですが、筆者としては、そうは思えません。
この事件は、警察に逮捕されるくらいですから、通常のしつけの範囲を超えていた可能性が高そうです。
いずれにしても、子供に対する体罰は許せません。
体罰が虐待と言い切れるかどうかは異論もあるところだと思いますが、2020年4月から、体罰は児童福祉法等改正法で禁止されています。
少なくとも「不適切」とは言えることは、社会でも広く認識されていると思います。
このような体罰を含む、不適切な育児のことを「マルトリートメント」と呼びます。
この「マルトリートメント」は、近年日本でも注目されている言葉です。
マルトリートメントとは?
マルトリートメントとは、「(虐待とまでは言えないが)避けるべき子育て」のことです。
「マル」は「悪い」、「トリートメント」は「扱い」という意味合いです。
アメリカなどで広まった表現で、日本語では「不適切な養育」と訳されます。
- しつけのための体罰
- スマホを子供にあてがう
- 危険物を子供の手の届くところに放置する
- スマホに夢中で子供に注意を払わない
例えば、上記のような育児が、マルトリートメントの一例です。
マルトリートメントの子供への影響
マルトリートメントは、子供の脳に影響を及ぼし、健全な発育を妨げるとされています。
また、大人になってからも、心のトラブルに悩む可能性が高くなるそうです。
体罰をした瞬間だけではなく、十年以上経ってからも、子供の人生に悪影響を与え続けるということです。
最新の研究では、「脳の形が変わる(小さくなる)」という説もあるそうです。
筆者も、子供にイライラすることもある気持ちは理解できます。
ひとり親ならではの苦労も良くわかります。
しかしそれでも、決して虐待や体罰などのマルトリートメントは行いません。
こういった悪影響があることを知っているからです。
そのため、Yahoo!ニュースの「ビンタくらいで・・・」というコメントには共感できないのです。
子供の視点に立てば、最大の味方であり、甘えられる存在の親から体罰を受けることのショックは計り知れないと思います。
体罰が子供の健全な発育にどれだけ悪いか、より広く社会に認知され、「体罰を許さない」という風潮が日本でももっと広がることを願います。