元卓球選手の福原愛さんの離婚報道によりSNSでトレンドワードとなった「共同親権」について、台湾の弁護士が日本との違いを解説しているニュースがYahoo!ニュースに掲載されていました。
記事の中では、日本国内で10年ほど前に連れ去り被害にあったKさんという方も登場します。
育児放棄気味だった母親が、突然子供を連れて行方を隠し、虚偽のDVを主張するという、典型的な連れ去り事例に遭われた方です。
筆者がTwitterでフォローしている方の中にも、同様の被害に遭われた方が数多くいらっしゃいます。
「このKさんというのは、ひょっとしたらあの人のことではないか?」
という心当たりが複数あるほど、日本では実子誘拐がありふれているのです。
共同親権は、連れ去りを確実に防止する特効薬ではないのですが、親権目的で子供を連れ去る事件の減少にはつながるでしょう。
日本には、共同親権の制度がありません。これは、先進国としては極めて珍しいことです。
一方、台湾には離婚後共同親権の制度があります。
台湾でも、DVなどにより単独親権となることはありえますが、日本のように強制的に単独親権になるということはありません。
望まずして別居親が断絶させられるような事例は、日本よりもずっと少ないと推測されます。
台湾の共同親権制度では、銀行口座を開設したり、進学先を決めるなど、子どもの人生にとって重大な選択の際は、共同親権者である2人の合意が必要になります。一方、「主要扶養者」という概念があり、主要扶養者は、普段は子どもと一緒に生活します。日常生活に関わることについては主要扶養者に決定権があります。日本でいう「監護者と親権者を分ける」ケースに少し似ている制度のようで、欧米の共同親権制度とは違うようです。
台湾では、共同親権制度があるとはいえ、主要扶養者の地位を父母が争うことはありそうです。
日本では単独親権しか選択肢がないため、離婚後は親権を持つ方の親だけが養育の権限を持ちます。その点、台湾はどのような制度なのでしょうか?
協議離婚の場合、子どもに関する養育計画のある離婚協議書を持って区役所で離婚登記できるので、実際の養育計画は個々の自由裁量となります。裁判離婚の場合、裁判官は、今まで双方の生活状況を十分踏まえた上で総合的に養育計画を決定します。共同親権であれ、単独親権であれ、一方は普段の主要扶養者として子どもを養育し、一方は指定されている時間帯で子供と面会、過ごせるというケースが最も多いです。養育計画があっても、事後的にもめているケースでしたら、養育計画を一方が守らないというケースも珍しくありません。
AERA dot.
台湾では、共同親権であっても、子供は普段は主要扶養者と共に暮らし、他方の親は指定された時間帯で過ごすというスタイルが主流のようです。
欧米のように、双方の自宅を行ったり来たりしながら両方で養育するスタイルとは少し違います。
それでも、共同養育の計画を裁判所に提出するなどの手続きもあり、子供と片親が理不尽に断絶するということには、日本と比べるとなりにくいと思われます。
一口に共同親権と言っても国や地域に寄りスタイルは様々です。
日本も、様々な国の制度を参考に、より優れた制度の導入に向けて議論する必要があります。現行の強制的単独親権性よりも、子供たちのためになる制度の導入に向け、建設的な議論が交わされることを願います。